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zoom RSS 山登ってみよう【縦走東海自然歩道・犬居〜家山・前編】

<<   作成日時 : 2017/05/29 21:11   >>

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画像 ついに、真に必要と感じて前泊してしまったなあと思う。東海自然歩道の旅は、犬居まで歩を進めたが、その先は適当なエスケープポイントが存在せず、大井川鉄道の家山駅まで約33kmを歩くよりない。それも、林道主体とは言え山の中をである。静岡県によれば、一応の中断ポイントとして中の在家バス停が示されているが、運営会社であるはずの秋葉バスのサイトを見ても、バス停の存在自体が確認できない。よしんば存在していたとして、家山まで歩くのより3q程度の短縮効果が得られるに過ぎず、実用性に乏しい。下手をすれば、道中でタイムアップとなる可能性がある今回、安全策として浜松に前日から泊り、行動時間を稼ぐことになった。

 浜松の夜が明け、天竜浜松鉄道の始発で西鹿島駅へ。この一連の旅の中でこの駅を使うのは、順調に行けばこれが最後となる。若干の感傷を残しつつ春野車庫行きの路線バスに乗り、若美橋バス停で下車。時に8時ちょうど。簡単に支度を整え、早速歩行を開始する。

画像 まずは川を渡って右折。曲がりなりにも商店のある家並みを抜け、山に入る道に進む。細い以外は普通の車道だ。こういうコース取りが、静岡コースの一つの特徴と言って良いだろう。ちゃんと山の中に入っては行くが、土の道は少なく、舗装林道が多い。特に前半戦では、天龍美林と呼ばれる植林を見せる意図があるようなので、林道を辿るのが効率的なのだろう。そして、指導標をまめに示して来る。この間、三重・滋賀の県境にまたがるコースで煮え湯をこまされたからこそわかる。何気ない指導標の配置であっても、設置者のセンスが現れる。静岡県は筋が良い。徒手で歩きはじめても、指導標を当てにしていればよほどのことでもない限り迷わない。林の中のうす暗い道は、着実に高度をあげていく。水気はないが、つぶれたサワガニがよく目に付く。

 今日の道のり、最もまとまった登りは最序盤にやってくる。最初のチェックポイントとなる新宮池まではひたすら登り。そのあとは、地形図を見る限り多少のアップダウンこそあれ、標高500m前後をキープしながら、道が続く。これをクリアすれば、次は中盤に控える春埜山に向かう登りが第二の山場となる。前回、前々回から続いて、植林の中を道は伸びる。そして、林を抜けると茶畑の広がる山腹集落。これまたいかにも静岡らしい。ワンパターンではあるけれど、山と人の暮らしが融和した姿には、これも長距離自然歩道の一つの見せ方かと納得しはじめている。時に地道も姿を見せるが、静岡県コースの場合は自動車対応林道特有の迂遠な回り道をショートカットするために設定されているというニュアンスが強そうだ。そんなに長くは続かない。

画像 基本的には車道の勾配に付き合いながら延々登ること1時間あまり。9:20、新宮池に到着。それなりに標高の高い山上にこれだけの池があるのは、なんだか不思議な気もする。何でも大蛇伝説のある池なのだそうで、時期には船を浮かべてお祭りも催されるのだそうだ。周囲を一周することもできるが、遠巻きに眺めた後、再出発。今日の道のりは遠い。新宮池の裏山に道は延びる。土の道である。まだ体力に全然余裕がある中、すぐに下りはじめる。あまり有り難くない。しかも、数十メートル単位で下る感じだ。ただ、この道は舗装道路でこそないけれど、結局は普通の林道・市道とつかず離れずのところを通っているようで、人の営みの気配が感じられ、時にわら納豆のお化けのような不思議なオブジェ?が道の脇に置かれていたりする。新宮池との関係は…特にないのかもしれない。

 10分ほどで地道は終わり、再び舗装された道が始まる。そして、集落。茶畑が広がる。派手さはないけれど、大変な登りもないので、沈思黙考しながら歩くのにはちょうど良い程度のコースなのかもしれない。あとはアクセスやエスケープが容易なら、ハイキング用には悪くないのだけれど。ひたすら、黙々と歩く。新宮池からしばらくの間は、中だるみの区間だ。マイルストーンとなるものが特に何もない。次に目指すのは春埜山大光寺ということになるが、新宮池からは9qほども離れている。途中、経由地として大時という地名が示されてはいるものの、基点とは言い得て妙で、特に見どころとなるもののない普通の山間集落だ。

画像 何気なく、来た道を振り返る。抜けるような青空を背景に、大体目線と同じ高さに位置する向かいの山の斜面に集落が開かれ、茶畑が広がっているのがわかる。山深いという感じはないが、盆地とも言えない山中に、こうして転々と集落が営まれているのは、遠州地方の特徴なのだろうか。

 大時を過ぎ、道は再び林道を外れた。今度はどうやら、比較的まとまった距離の登山道となるらしい。そもそも大光寺を残り2〜3qのところにとらえており、その大光寺周辺の道がやっぱり車道規格なので、何qも続くものとは思えないが、それでも歯ごたえのある登りは20分ほど続いた。だらだら続く林道の登りとは違う、純然たる登山道。どこが登山口なのかは判然としないけれど、春埜山登山道の一部という位置づけになるのかもしれない。春埜山の山頂は東海自然歩道からはわずかに100mほど外れたところに位置している。もっとも、春埜山への道を分ける時点において、東海自然歩道は再び車の通る道に復帰している。つまり単純に春埜山頂のみを目指す場合、車でその間近まで肉薄して最後の200mほどを登るというか歩くだけで済んでしまうことになる。東海自然歩道の旅人たる私は、その山頂が指呼のところにあることを知りつつも春埜山をパスした。大光寺もまた目前にあった。

画像 今日の行程のほぼ中間点に位置する大光寺には、11:33に到着。お寺とはいいながら、その入口には鳥居があり、「太白坊大権現出現霊場」とある。なるほど、権現様か。ちなみに太白坊の正体は天狗なのだそうだ。オオカミを眷属とすると言い伝えられており、他ではあまり見られない特色を持っている。本殿の前には、狛犬ならぬ狛狼が座しているが、なんだかお稲荷さんのようにも見える。今ではニホンオオカミは絶滅したものと言われているが、昔は割と身近なものだったのだろうなあと感心する。なお、開山は行基と伝えられていて、境内には行基手植えとも言われる推定樹齢1300年の春埜杉が生えている。

画像 大光寺は、標高でいうと大体870mのところに位置している。この辺りでは割と高い場所だと言って良いのだろう。南アルプスの深南部というか、そのさらに南というのかは微妙なところなのだけれど、京丸山や蕎麦粒山、竜頭山など、しばしばその名を耳にする山々の連なりを見渡すことができる。個人的には特に前二者に格別の地域性が感じられ、これまで茫洋としてつかみどころのないまま遠州の山奥を歩いてきた中で、突然に自分の居場所を知らされたような錯覚に陥る。京丸山。登ろうと志したが、いまだに登頂を果たしていない。

 次なる目的地は、今日の第三チェックポイントである大日山金剛院のつもりでいたのだけれど、指導標はその前に鳥居沢山の存在を挙げている。ご丁寧に932mの標高を示してくれている指導標もあるが、だんだん疲れの色が見えてきた中で、ある種の示威のように感じてしまう。ここから確実に50〜60m登るのか。まあ、体系的なデータを抑えられていない中で、ここが本日の最高地点なのだろうと考えて、ひと頑張りすることに。というか、頑張るよりない。問題の中の在家バス停に下山するにしても(この時間帯にここまでこれたのなら家山まで歩き切る見通しが立ったということなのでもはや何の意味も持たないのだが)、鳥居沢山を踏み越えて平松峠までは進まなければならない。

つづく




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