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zoom RSS 【売薬地方都市】富山の博物館を熱く語る(イタイイタイ病資料館)

<<   作成日時 : 2017/05/11 21:10   >>

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 九州旅行の時に立ち寄った水俣病資料館で、四代公害病と呼ばれるもののそれぞれに同種の資料館があることを知った。一番近場の四日市ぜんそくはいつでも行けるし、逆に第二水俣病は遠過ぎてそう頻繁にはいけないのだけれど、その中間に位置するイタイイタイ病資料館は、違う意味で行きづらい。富山市の郊外に開設されているのだが、鉄道の駅からは遠く、路線バスを乗り継いで行きつけるようなところなのかも定かではない。そこで、今度の旅のついでに立ち寄ってみることにした。

画像 資料館は、とやま健康パークと言う公園の一画にあった。鄙にはまれな文化施設と言う感じの、瀟洒な建物が建っているが、その中のさらに一部が、資料館のスペースにあてがわれている。施設としての出自とか来歴と言ったものは水俣病資料館と酷似しているが、イタイイタイ病資料館のほうがより子供向けの学習施設と言う性格が色濃いのかもしれない。汚染被害の発生した神通川流域近くの昔の生活がジオラマで再現されているが、登場人物は丸みを帯びた、どこかぬくもりを感じさせるフォルムをしており、硬質な印象のあった水俣病資料館とは好対照をなしている。

 展示によると、かつてこの地域の人々の暮らしにとって、神通川はかけがえのないものだったという。生活用水として、農業用水として、まさしく命の水だったようである。それが、上流域の神岡鉱山から排出された鉱毒により汚染された。水田に育つ稲は汚染され、汚染された稲を自家消費していた流域の人たちの体内にカドミウムが蓄積されていった。このあたりの経緯は、水俣病の場合と酷似している。水俣病の場合は漁民を中心に水俣湾でとれた汚染魚が消費され被害が拡大していったものだが、大きな構図としてとらえる上では、汚染が水産物を介したか農作物を介したか程度の違いしかない。

 一方、水俣病とイタイイタイ病の病理は、大きく異なる。神経系をやられる病気だった水俣病に対し、イタイイタイ病の場合は意識や思考など脳の働きには何ら影響が現れるものではない。ただ、病状の進行により骨が極端にもろくなる。患者の診察にあたった医師の証言によれば、脈を取ろうとすればそのために手を触れた場所の、心音を聞こうとして聴診器で胸をたたけばその場所の骨が、音を立てて折れるのだという。イタイイタイ病の病名の由来、患者が訴える苦痛の声は、端的には骨折に伴う痛みと考えて良さそうだ。もっとも、重症化すると骨が折れずとも全身に激痛が走ることになるとされる。水俣病とは違った意味で、残酷な症状である。

画像 施設の規模はさほども大きくない。汚染が始まる前の当地の暮らし向きに始まり、その生活が公害病を生み出した構図、病気の社会問題化、そして補償や汚染対策への道筋といった歴史がコンパクトに紹介されて終わる。最後に、この病気を巡る年表が掲出されていた。病気自体の歴史は思いのほか古く、大正時代に発生したのが最初なのだそうだ。高度経済成長期まで数十年をかけて初めて社会問題になったというのが正しい認識であるらしい。そして、現在もこの問題は完全決着を見ていない。土壌の汚染などは改善を見、かつてイタイイタイ病を発生させた資料館周辺の土地はそんなことを微塵も感じさせない普通の田園地帯となっているが、病期自体は、対症療法的にしていくらか軽快することは見られても、根治はしないため、今もこの病気に苦しんでいる人たちがいるのだそうである。

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