バレンタインの声を聞く1月の末に

 小魚みたいなネタなので、昨日のエントリーに紛れ込ませとけばよかったのだが、懐かしい噂話を久しぶりで耳にしたので書き残しておく。私が子供の頃、ビックリマンチョコと言うのが大層流行った。もちろん、チョコ自体が特別おいしかったと言うわけでもなくて、おまけでついていた天使VS悪魔シールが当時の男の子の間で大変な人気を博したためである。最近の子供たちには分からないだろうが、私より一回りほど上の年齢の人たちならば、そこからさらに一昔前の仮面ライダースナックを想像すると分かりやすいと思う。

 このビックリマンシールには、今で言うレアリティが厳格に設定されていた。シール欲しさにいくつもチョコを買っているとダブりが発生してくるようなありふれたシールが悪魔シールであり、それより入手の難しくなるのが天使・お守りシールである。前者がいわゆるコモン、後者がアンコモンということになり、今調べてみたところでは、悪魔シールの封入率は天使やお守りのそれの4倍程度だったようである。

 そして普通の天使や悪魔とは別格のシールとして、「ヘッド」というのが存在していた。ヘッドは、設定上天使や悪魔の一人に分類されているキャラクターなのだけれど、ヘッドともなると天使・悪魔のカテゴライズはレアリティに対し特段の意味を持たなくなってくる。かなり入手の難しい、いわゆるレアに相当するシールと言うわけだ。ヘッドの封入率は、小売店が問屋から購入する場合の単位である「箱」に1枚ほどだったと言うことだ。もっとも、現在となっては1箱にいくつのチョコが詰められていたかは分からない。

 当時流行ったうわさというのは、この極めてレアなヘッドを引き当てる方法に関するものだ。と言ってもそのうわさに言うヘッドの見分け方は至極簡単で、「箱の中の前からン番目はヘッド」というものだった。今となってはそれが何番目だったのかは忘却の彼方だが、聞くところによればこういう「裏技」が名古屋地方にも存在していたのだと言う。私はその話を聞くまで、このヘッド鑑別法は当時の友人が勝手に吹聴していたホラの類だと思っていたのだけれど、どうやらもっと広がりのあるものらしい。もちろん、ビックリマン世代によってのみ共有されたうわさだろうけれど、今回の調べに使ったWikipediaでさえもそうしたうわさに言及していた。

 まあ何であれ、このやり方でヘッドを引き当てることは出来なかった。大体、箱に詰められ店頭に並べられるまでは良いが、あっという間に多くの子によって買い漁られてしまうわけだから、前から何番というのを特定するのは限りなく不可能に近い。駄菓子屋のおばちゃんが新しい箱を開封して店頭に並べるのを確認するのと同時にチョコを買い求めなければ、正しく「前からン番目」など選んでいられない。こういった部分のお粗末さが、子供の発想だったのだろう。

 ちなみに、当時の私たちはどこの店が何曜日にチョコを仕入れるかと言うような情報は、子供なりのネットワークを介して把握していた。また、上でスーパーではなく駄菓子屋を例え話に使ったのはちょっとした理由がある。スーパーマーケットでは店内の物陰でで袋を開けてシールのみを持ち去る悪質な「犯行」が横行していたのと、一人何個までと言う購入個数制限を設けていた関係で、レジで「ビックリマンが欲しい」と申告しなければチョコを買うことが出来なかったのである。また、子供ながらに「ミクロ経済学」の基本理論の実践を覚えたのも、ビックリマンシールの交換が最初だった。

 今にして思えば、おかしな話である。最近の子供の世界はよく分からないが、今でもそういう乱痴気騒ぎじみた、妙なブームは存在しているのだろうか。

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