勝ち犬

 山梨県土着の犬種で、甲斐犬と言うのがいるのだそうだ。犬マンガ界に金字塔を打ち立てた「銀牙」にも登場しており、赤カブトの目を潰すなど活躍を見せているが、狼の血を色濃く受け継ぐことから気性が激しく、猛々しい犬種なのだという。つまり、山梨県でも高原リゾート地の薫り高い八ヶ岳山麓地帯の瀟洒な雰囲気には似ず、この地域を旅していて甲斐犬の盛名を目の当たりにすることは稀だったのだが、元来巨摩地方と縁が深かったようである。北岳への旅で、甲斐犬のブリーダーの看板をちらほら見かけた。

 対するに、北岳を目前にしながらむざむざ撤退せざるを得なかった私は、負け犬である。かつて、山関係でこれほどの敗北感にさいなまれたことはない。甲斐犬のような、雄々しい勝ち犬になりたいと願うものである。今季の北岳リベンジはもはや考えられないが、アルプス枠への再挑戦はしたい。適当な的として考えられるのが、前々から話題に上せていた霞沢岳である。標高から言えば押し出しは弱いが、行程の長さは北岳に比肩しうる。山の秋の訪れは早いが、夏が終わらないうちに足を運びたいと思う。

 その準備も兼ね、今度の山の日は御在所岳に行こうと思う。考えてみれば、北岳の予行演習で御在所に登れなかったのがケチのつき始めと言えばそうだったのかもしれないのだから。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック