京は燃えているか

 よく言われるように、京都は夏暑く冬寒い。気候が落ち着く春と秋は観光好適のシーズンと言える。が、秋は、好適過ぎて夥しい数の観光客が集まってくる。酷いことになる一因は紅葉にあると言っても過言ではないだろう。ホント秋の京都は地獄だぜ!

画像 よく訓練された観光客の私は、そんな紅葉シーズンの京都にも逃げることなく挑む道を選んだ。目指すは、有数の激戦区と思われる嵯峨嵐山。もっとも、昨年の東福寺で心折られた経験があるので、平日の嵐山探訪という作戦を立てた。しかも、保険として朝一番から行動を開始する。と言いつつ、無難に計画を実行できそうな阪急電車で嵐山に行く方法を採らず、河原町から路線バスで嵐山を目指す程度の遊びを残したのは、まだ甘さがあったとするべきところだろうか。

 見て回りたいのは、祇王寺、二尊院、常寂光寺。本当なら化野念仏寺側から下って行った方が効率が良いのだが、渡月橋から歩き出し、一番深いところにある祇王寺を目指す。

画像■祇王寺
 祇王寺には、初夏の頃に来たことがある。いわゆる青もみじがそれなりに美しく、風情があった。
 紅葉はどうか。実はギンギンに紅いのを期待してきたのだけれど、思ったよりは優しい感じである。と言うか、すでに紅葉の盛りは過ぎた感があり、枝に残る葉は思いのほか少ない。対照的に、草庵の前に広がる庭には、散った葉が一面に降り積もっている。落ち葉なので、鮮やかな赤とは言い難いが、この寺の縁起も含め、侘び寂びの世界だろうか。

画像


画像■二尊院
 祇王寺とは対照的に、二尊院に来るのはこれが初めてだ。本堂の工事が続いていたという事情もあるが、ある意味紅葉シーズンのために温め続けてきたと言っても良い。普段のシーズンだと、名前の由来とも言える二体の仏像が観光の目玉と言えるのだが、ここももちろん紅葉の名所として知られる。
 境内には紅葉も黄葉もあるが、数はそんなに多くなく、ボリューム感で言えば山門を過ぎてすぐの石段両脇の木々が一番見ごたえがあった。
 ちなみに本堂からちょっと登った山側に、藤原定家が百人一首を選んだという時雨亭の跡がある。あくまで跡である。ただ、本当にここがそうだったのかについては諸説あって…。

画像


画像


画像■常寂光寺
 常寂光寺も小倉山の山腹に建立された寺だ。一口に境内と言っても、結構石段の上り下りがあり、場所によってもみじの色づき具合に差がある。もちろん、有意に気温が違ってくるほどの標高差ではないので、たぶん日の当たり具合とか樹種、樹齢その他の要因により、木々が赤く色づくタイミングが変わって来るのだろう。この時は、本堂や多宝塔周辺の木々が見ごろを迎えていた。
 常寂光寺にも時雨亭の跡とされるものがあるのだそうだ。

画像


 常寂光寺を訪ねたのは、時に午前10時半。平日だというのに、異様に人が多い。外国人が多い、年寄が多いというのならわからないでもない。実際、アジア系観光客や高齢者ツアーの団体客の姿はよく目についたが、若い日本人の姿も少なくない。さらに、寺を出て竹林の道を抜けて嵐山方向を目指すと、もはや混沌のるつぼと化していた。これまでのどの時期の休日であっても、これほどの人出に巻き込まれたことはなかったような気がする。

 私は言うほど紅葉マニアではないので、実のところ今回の紅葉が見事と言うに値するほどのものだったのかよく分からない。訪問時期の良い悪いもあるだろう。ただ何となく、ハズレ年だったのかな、と言う気はする。落葉が進みつつある一方、鮮やかに色づくというほどではなかった。まあ、それも良い。さほど熱心でもないのに紅葉を見に行ったのは、狂騒の風物詩を見物しに行ったというのがふさわしい。来年があるとしたら、北山をスタートして岩倉に抜けた後、叡山電鉄に沿って歩いてみようか。一般にこのエリアを何というのかもよく分からないけれど、そんな場所だからこそ歩いてみる面白さもあるだろう。いや、紅葉のスポットとして知られるのは実相院、赤山禅院、曼殊院門跡、詩仙堂などといった所なので、歩行距離のわりに実入りが少ないと見ることもできるのだけれど。

 ところで、今回嵐山を歩いてみて知ったのだけれど、12月9日から18日まで花灯路が催されるのだそうな。嵐山の物はまだ見たことが無い。時あたかも18きっぷシーズンなので、小浜城を取りながら山陰線で嵐山に入るというのも考えられなくはない。ただ、京の冬の旅や「re:」9巻買付旅行との兼ね合いもあるので、何を取るべきかは悩ましい。「re:」の発売は12月19日予定、京の冬の旅は年が明けての開始で、全く時期が分散している。特に今回の冬の旅は琴線に触れるものが多く、どうかするとすべて取りに行っても良さそうだと思える。一方、この冬の18きっぷ旅は和歌山を絡めた一泊二日を一回、南関東を軸とした一泊二日を一回が既定路線となっていて、京都に使える持ち玉は実質一発となっているので、使い方はよく考える必要はありそうだ。

 ま、ここ最近の携行からして、18きっぷも何もお構いなしに京都に行っているのだけれど。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック