バエルの呪い

画像 とある女お笑い芸人が言っていたが、人の心は俗に言う花鳥風月の順で、自然の美しさに心奪われていくのだそうである。かくいう私も最近になってようやく、花の美しさを愛でようという心境に到達しつつある。これまた「花は桜木、人は武士」と言ったもので、花と言えば桜くらいしかわからなかったのだが、ちょっと目先を変えようという気になり、京都大原三千院に紫陽花を見に行くことにした。

 まあ京都で紫陽花と言えば三室戸寺の方が圧倒的に名高いのだけれど、それでも三千院に行こうとしたのは、今回の京都行のメインがそこにないことを意味している。要するに、新しい安宿を研究してみようという発想に基づく行動だ。なるほど、ルーマプラザは良く頑張ってくれているが、それ以外の選択肢も多いに越したことはない。ルーマに限ったことではないような気がするけれど、京都宿泊は土曜の夜の競争率が高く、なかなか宿泊予約が取れるものでもないのは事実だ。そこで引き出しを多くしておこうとか、そんな目論見である。

 今回試してみたのは、THE PRIME POD(ザ・プライムポッド)京都。実はこれも東京地盤のグループが京都に進出してきたものらしく、池田屋事件の故地の隣の隣辺り、三条大橋にもほど近い三条木屋町の商業ビルの高層フロアに入っている。曲がりなりにも京都の都心部エリアに張り付いている立地は好材料と言えるのかもしれない。ちなみに、一遍チェックインを済ませれば、カードキーを持ったまま、自由に外出できる気楽さはありががたい。言うまでもなく木屋町は、京都有数の盛り場である。それに地下鉄の駅から近いのも観光客には都合が良い。ルーマの祇園近辺に駅がないわけではないが、阪急・京阪とも近畿圏内他都市とつながってはいても、京都駅には接続していない。

画像 内装がおしゃれなのはルーマとどっこいどっこいで、インスタ映えしそうである。ルーマ側がカプセルサウナを高級志向にシフトさせていったものだとすると、こちらはホテルの低廉化の帰結としてカプセル形式に行き着いたという感じがしないでもない。この店舗では個室のことをポッドと呼んでいるが、機能的には要するにカプセルである。布団一枚程度の広さと奥行きに、座って頭がつかえない程度の高さが確保された個室が上下二段に積まれているその姿は、まごうことなきカプセルである。かなり外国人客を意識しているようで、若干の和テイストを出している点こそ独特だが、機能的にはカプセルホテルそのものと言って良い。個室にはテレビがあり、携帯充電用のコンセントとUSBがある。これに加えて有料の貴重品ボックスまであるのは、ここで初めて見た。

 残念ながら、風呂関係は普通の個室シャワールームなのでサウナカプセル系には見劣りするし、リラクゼーションルーム的なものもないが、受付フロアがおしゃれラウンジになっており、バーカウンターがあるほか、持ち込みの軽飲食物を食べたりするのに使うスペースになっているらしい。ばえる。と言うか、私が見るたび、スタイリッシュ風の客がタブレットやらノートPCやらをこのラウンジで使っており、客層はカプセルサウナと一線を画するものがあるらしい。

 ついでに言えばここ、女性も泊まれる。宿泊フロアは当然のことながら男女別となっており、エレベーターやシャワールーム、ポッドスペースの操作・開閉に使うカードキーで男女の行き来をコントロールしているようだ。

画像 ちなみにこのおしゃれラウンジはビルの9階にあり、それなりに眺めはいいのだが、超高層のビルは造れない京都の制限高ギリギリくらいの高さのところに位置しているため、隣のビルを見下ろすというほどの高みではないし、近くを流れる鴨川も、そんなにばっちり見下ろせるというほどではない。一応、高瀬川とその両岸を覆うグリーンベルトや、ビルの谷間から三条大橋を望むことができるのはこのロケーションならではと言えるだろう。と言うかこの場所が最大の強みを発揮するのは、五山送り火の時と言う気がする。もちろん、そのタイミングにここで部屋を押さえるのは簡単ではないだろうし、居室ではなくラウンジからでないと送り火も見えないので、それを売りにする本格派のホテルには見劣りしそうではある。

 実は料金もそんなに高くないので、選択肢としては悪くないのだが、トータルで見た場合の快適性は、意外にも?ルーマに劣るような気がする。更衣専用のスペースがなく、ロッカールームやスーツケースをキープしておくスペースもあるが、そこから衣類を引っ張り出してきて、シャワー室の更衣スペースかポッドの中かで着替えなければならないのは、何となく窮屈で、動線が冗漫な感じもする。まあこの辺は、純粋なカプセルホテルに共通する不便さではあるので許容範囲だろうし、この辺りが原因で私は普通のカプセルホテルを敬遠しているとも言える。

 あと、頼めば食事もつくようだが、これはやっぱりルーマのバイキングにはっきりと見劣りする。

画像 ついでに翌朝、四条烏丸の路地裏にあるという安心お宿を見に行った。驚いたことに、目抜き通りから一本引っ込んだ昔からの住宅地みたいな一画に、本当に安心お宿があった。中を見てはいないが、オフィス街と住宅街の境界領域みたいなところに位置しているので、本当に眠ることに特化した場所と言うくらいの覚悟で利用する必要はありかもしれない。

 などと京都にまで行っておきながら、妙に無味感想なリサーチだけしてきたみたいな感じになっているが、一応三千院にも行くだけ行った。紫陽花はまだちょっとシーズンには早いようだった。

画像


画像

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック