ビッグタイフーン

 この記事を書いている最中も、すべての決着がついたわけではないのだが、この土曜は涸沢まで紅葉狩りに行く予定だった。が、台風が来た。

 一応、上高地まで行くには行った。タイミングだけなら、この土日は涸沢の紅葉の最盛期と言っても良いようなタイミングだったはずだ。にもかかわらず、金曜の夜に名鉄バスセンターを出る上高地行き夜行バスの乗客は、私含めて3人か4人。そのため車内は至って快適で、夜行バスにしては珍しくわりとよく眠った上で上高地に着くことができたのだが、天気だとか体調だとか、すべてが兼ね備わった山行を実現するのはなかなか難しいようである。夜明け前の上高地に着き、バスの車内アナウンスで目が覚めた時、上高地には雨が降っていた。一週間ほど前から天気予報とにらめっこをし、なんとか決行の土曜日は逃げ切れるつもりでいたのに。涸沢を引き払う頃に降り始めるはずだった雨は、わりと本降りとなって上高地の地面を打っていた。

画像 それでもとりあえず、明神まで行くだけ行った。上高地の予定が丸々なくなると時間を持て余すことになること、大体上高地を出るバスが動き出すまで2時間くらいはあるのとで、とにかくそうせざるを得なかったという方が正しい。歩いているうちに雨勢は弱まり、もしかしたら涸沢まで行けたのかもしれないという思いも芽生えはしたが、時期も時期なのでことのほか気温が低く、氷雨のような冷たい雨の中を10時間近くも歩こうという気にはなれなかった。だからきっと、涸沢を諦めたのは良い判断だったのだと思う。その日の雨は結局、一日中止むことがなかった。

画像 その後は平湯まで引き上げ、気を取り直して畳平に向かった。平湯で温泉に浸かっても良かったのだけれど、その準備を全くして来ていなかったので、単なる時間つぶしが八、九割という状態で乗鞍の前進基地まで進み、食堂ですくな鍋と言うのを食べた。腹の足しにならなさそうな名前で、実際そんなに食いでのない鍋だったのだけれど、まずまずおいしかった。

画像 そこから高山まで下り、まつりの森とかまちの博物館とか、興味はありながら足を運ぶ機会のなかった施設に出向いてみた。思えばこれまで、高山は列車やバスを待つまでの時間つぶしのためにとどまる場所と言う関わり方が多かったのだけれど、今回は最初に高山宿泊の方針があったので、高山観光とまじめに向き合う良い機会となったのかもしれない。まちの博物館は、マイカー観光でないとやや見当違いなところにある施設だけれど、平成になってから作られたという祭り屋台はなかなか面白かったし、まちの博物館については無料施設ながら収蔵品は多く、特に円空仏が多く展示されていて、とても得した気分になった。

 そんなことをやっていて、土曜はタイムアップ。そして日曜、つまり今日は、台風の足が予想以上に早かったので朝一番で高山を引き上げざるを得なくなった。そのため、これも前から関心はあった日下部民藝館や吉島家住宅はパスしなければならなくなった。

 今回、単なる通過観光と言う以上に落ち着いて高山と付き合うことになったのだけれど、さすが東海地方有数の観光都市だけのことはあって、改めてちゃんと見てみると、和風旅館や今風のカフェまで、街角のほんのちょっとした風景が味わい深かった。たぶん私自身の心境の変化のようなものもあってそのように感じたのだろうけど、今回行けなかった尾崎城や鍋山城などの城跡、日下部民藝館や吉島家住宅、東山の寺院群は次に期待したいし、そもそも春秋の高山祭のいずれも見たことがないので、そんなところを見物しに行くのも良いかな、と思った。

 時に来週は八ヶ岳に行く予定なのだけれど、また今回と同じパターンで台風が来そうなことが言われている。どこかに天候操作に関して霊験のあらたかな神社とかないものか。

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