ただ犬吠埼に行きたいだけの旅

画像 去る南海道の旅の計画を立てていた時、串本駅での待ち時間に潮岬に行くことができないか検討し、結局だめだと分かった一幕があった。その時以来、どこか最果て感のある駅に行ってみたいと思ったのだけれど、ふと思い当たったのが犬吠埼である。犬吠埼には、何となく東の果てと言うイメージがある。実際には、関東以北の日本列島は北北東方向に延びているので、関東地方内で東にせり出している印象のある犬吠埼も、本州最東端ですらない。ちなみに本州最東端の駅は、現在のところJR東日本の管轄に属する岩手船越駅なのだそうである。が、この際事実がどうとかいうよりイメージを大事にしたかった。その程度の、いい加減な旅に出ることになった。

 愛知県に生まれ育ったものの悪癖として、東京も大阪も何となく等距離にありそうな気がしてしまう。実際、豊橋あたりからなら、それも当たらずと言えど遠からずと言ったところなのだけれど、名古屋からだといささか事情が異なる。名古屋から大阪まで、新幹線なら1時間程度、在来線なら2時間40分ほど。対する東京はと言うと、新幹線で1時間40分、在来線だと6時間半もかかってしまう。それでも何となく東京はそんなに遠くないという自己暗示にかかっているのが恐ろしいところなのだが、在来線でちんたら東京を目指した時に、朝一番で家を出ても東京に着くと昼を回っている事実を突きつけられ、慄然とすることがある。西に向かえば、そろそろ広島県に入れているくらいの時間帯である。思うに、静岡県が横に長い上に、県内を走る列車が軒並み普通列車ばかりだというところが良くないのだ。

画像 ただ、ここで静岡県を糾弾するような真似はするまい。むしろ問題にしたいのは、千葉県の方だ。関東ナンバー2の座をかけ、神奈川県などと競っている風な顔をしておきながら、東京駅から千葉駅までは40分くらいかかる。横浜駅や大宮駅まで20~30分程度なのを思えば幾分か遠い気がするのだが、ここから犬吠まではさらに2時間ほどがかかる。つまりは、正午過ぎに東京に着き、千葉に着いたところで13時過ぎ、犬吠に通じる銚子電鉄の終着駅外川駅に着いたのは15時過ぎのことだった。冬の日は短く、すでに西に傾きつつある日差しの中にたたずむ外川駅は、黄昏の色に染まっていた。なお、犬吠埼の最寄り駅はそのまんまの犬吠駅である。ただ、せっかくここまで来たなら有名な銚子電鉄の最後の駅まで乗り通してみたかった。銚子電鉄線は全線でも10㎞に満たない程度の長さしかない反面、駅の数は結構多く、つまり一駅間の距離はかなり短い。戻りの時間を考慮に入れても、全然歩けない距離ではない。

 経営的には苦境が続きつつも、それでも頑張っているという報道がなされる銚子電鉄。外川駅は、何となくそんな銚子電鉄の企業カラーに相応しい駅のように思えた。かなり年代物と思われる木造の駅舎にはハンドメイド感があり、味わい深い。まずはここから、先ほど通り過ぎてきた犬吠駅まで歩く。銚子でもこの界隈の雰囲気は、我が故郷にも近い渥美半島に似たものがある。かなりの広さのキャベツ畑が広がっているというせいもあるのかもしれないが、たぶん海岸段丘上に人々の生活の場があるというのが根本的な理由なのではないか。外海に面したこの地域だが、東日本大震災後よく目にするようになった海抜高度を表す表記は、意外にも20m以上の高さ
が示されている。過信はできないが、東日本大震災級の津波が来ても、破局的な被害は免れそうな高さではある。

画像 10分ほど歩いて犬吠駅に到着。まずは、銚子電鉄名物となった濡れせんべいを購入。そんなに高級なお菓子ではなく、500円で割と大入りの一袋が買える。と言うより、一袋の量の多さに躊躇したほどだが、せっかくここまで来たことだし、銚子電鉄の心意気を応援する意味でも一袋買ってみた。そこから犬吠埼へ。

画像 関東の範囲に限った上では最も東の地と言う何とも微妙な立ち位置の犬吠埼だけれど、ここにちなんで二つほど有名なものがある。一つは、東映の映画のオープニングに登場する、波の打ち付ける荒磯。あの映像が撮影されたのがここ犬吠埼なのだそうだ。その頭があったので、まず映像の場所を探したのだけれど、どうもここだという場所が見つからない。そもそもカメラアングルが本当に波打ち際のようなところからの物だったはずだが、東日本大震災の影響とかで、かつての遊歩道の一部は立ち入り禁止の措置が取られており、、どこにでも自由に行けるとは行かない。代わりに、これもちょっとした名所らしい灯台を見に行く。歴史はあるし、国内の灯台としては規模も最大級に属するという。残念ながら、たどり着いた時間帯が遅かったので灯台内部まで見学する時間的な余裕はなかったが、夕日に照らされる白亜の灯台は美しかった。移動ばかりが長い旅ではあったけれど、一応、ここまでやって来た甲斐もあったように思える。

画像 銚子電鉄は盲腸線なので、帰りも銚子駅まではこれを利用することになる。すでに触れた通り、距離はそんなに長くない路線なのだが、なかなかユニークである。特に印象深いのがネーミングライツによる愛称駅名で、髪の毛黒生え駅とか、上り調子本調子本銚子駅とかはしばらく忘れられそうにない。飛び切りはロズウェル君ヶ浜駅である。かの有名なロズウェル事件に由来するものらしく、銚子はUFOの目撃例が多いのだそうだが、命名権者はなぜロズウェルにしようと思ったのだろうか。別にUFO関連の会社と言うわけではなさそうである。

 その後、例のゲームのイベントをこなすために新宿、池袋へ。駅を集めるゲームのはずなのになぜか映画館に行く羽目になったのだが、その中でも比較的に駅に近く、しかも移動経路からさほど離れていない場所を選んで行ったらこういうことになった。池袋もさることながら、新宿駅は巨大すぎる。巨大すぎて駅の中で迷子になりそうだが、どうにか街角に出ることができた。新宿と言うと一昔前の歌舞伎町のイメージが強く、お上りさんが不用意に歩いているとぶっ殺されそうな恐ろしさがあるので、速やかに映画館を回収する。たまたま何かの祭りでもあったのか、多くの人が路上を行き交っていたのに助けられたのかもしれない。その後の池袋も同様の危険はあったが、どうにか事なきを得た。この上渋谷に行く必要に迫られたら心折れるところだったが、最後に山手線で御徒町側に回り込み、今日の宿りに選んだ横浜まで移動した。

 横浜の宿としてセレクトしたのは、横浜駅からもさほどに離れていないグランパークイン横浜。カプセルホテルである。きれいな施設で価格も手ごろだ。接客態度も良い。その割に人の入りが少なかったのだが、比較的最近オープンしたためだろうか。横浜市内の観光の中心が横浜駅ではなく桜木町や関内だからというのもあるのかもしれない。横浜駅周辺は、地元の住民向けの高密度商業地区ではあるけれど、出張族の拠点となる新横浜駅は全然別のところにあるし、宿泊を要する人が集まってくる場所かと言えばそうでもないような気はする。強いて言うなら、スパ&カプセルホテルの名を冠していながら、浴場がいたって普通だったところは物足りないが、そこまで完璧を望みだすと、特に横浜と言う土地柄だと結構高くつきそうな気はする。

 翌日は、横浜にちなむ路線を回収。意外にも二系統しかない横浜市営の地下鉄と、みなとみらい線、そしてシーサイドライン。これらの回収により、神奈川平定のめどが立った。神奈川を固められたとなると、関八州の制覇も視野に入れる時期に来ているということだが、まずはJRの制覇が当面の目標となるだろうか。現状の取得状況は以下のとおりである。

相模線
 茅ヶ崎~橋本の路線。取得率は50%程度。
京浜東北線
 余野を残すのみ。GPS不安定のためたまたま取れなかっただけ?わざわざ狙いに行く必要はない。
京葉線
 東京~蘇我の路線。ほぼ未着手。
東北本線(宇都宮線)
 土呂、東大宮、蓮田、宝積寺等、東北新幹線から取れなかった駅が残っている。ちなみに、ゲーム開始以前に完乗したことはある。
常磐線
 新松戸が特急乗車時に取れなかったのみ。
埼京線
 大半を他路線乗車時に取っているが、板橋、十条が残る。実は埼京線完乗経験はないような気がする。取りに行かないと取れない駅か。
武蔵野線
 府中本町~南船橋の区間が残る。これも狙わなければ片付かなさそうだ。
成田線
 つまみ食いを繰り返した結果、銚子~久住の区間が残った。

 その他、路線延長に対して特に取得率が低い路線として、日光線。青梅線、両毛線がある。茅ヶ崎から相模線で北上し、さらに青梅線を取りつつ群馬まで進み、そこから両毛線に入るというのは考えられる。

 18きっぷシーズンが終わっていく。駅だの路線だののことを傍らに置いておくとしても、最近足尾銅山に対する関心が高まっているので、次季は足尾から日光に抜けるルートをメインに据えた旅をしてみたいものだ。

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