アイアンカムイ・その1

 一般に、駅メモで全国制覇を目指すにあたり、最大の障壁となるのは北海道だと言われる。個人的には異論があって、乗り継ぎの悪さで言えば中国山地の方がより質が悪いと思っているのだけれど、とは言え北海道も、一筋縄で行く相手ではない。そんなわけで、中国攻略の前哨戦として、北海道と決着を着けに行くことにした。難敵はいくつかある。2016年の台風で致命的な被害を受け、復旧の見通しが立たないまま廃線の道をたどることになりそうな日高本線。廃線バブルに沸いているが、そこはやっぱり廃線になるような路線なので極端に本数が少ない札沼線。地の果てみたいなところに取り残してしまった花咲線(根室本線)。そして、廃線区間としては有数の延長を誇る江差線。このほか、根室本線では新得~滝川間を取っておらず、函館本線でも小樽から長万部へと抜ける区間が取りこぼしとなっているのでここを回収しに行くのと、富良野線制覇にも一計を案じることにした。後は函館市電も割と大きな取りこぼしである。ほか、こまごまとした未取得駅はあるが、それらをすべて取りに行こうとすると、それなりの時間がかかるので前泊+正味3泊4日の計画で行くことにした。

 金曜の夕方にセントレアを発つ便に乗り、夜の新千歳空港に降り立つ。明日は朝一番から日高本戦を取りに行くので、今日の夜は苫小牧に宿を取っているが、まっすぐ向かわず、やっぱり取りこぼしの室蘭本線の追分~岩見沢間を取りに向かう。しかし、この区間も、運行本数がそんなに多くない。というか特急が通過しないのが致命的なので、今回の旅程で実際に乗って取るのは厳しいと判断、レーダーで回収することにした。それでも追分駅まで進まざるを得ず、追分から北に3駅までをレーダーで取った。残りの部分は、後日特急で岩見沢近辺を通過した時にレーダーで取れるはずだ。もう一つ気になるのが、追分のさらに東に位置する新夕張駅から、かつて分岐していた夕張支線の存在である。これはついこの間の2019年4月1日に廃止された路線で、すでにこの区間を走る列車が存在しないのはもとより、ゲームデータ上も廃駅扱いとなっている。これの攻略法が見つからなかったが、とにかく今はここから南に向かって苫小牧入りを果たした。

 苫小牧は室蘭本線沿いの町である。確か特急も泊まる規模の駅だったと思うのだが、今回は普通列車での入線である。駅の規模としてはそう小さいわけではないのだけれど、ホームで待つ客、駅を降りる客ともごく少なく、あまり活気ある雰囲気とは言えなかった。改札を出ると、連絡通路上にセブンイレブンの店舗があったのだが、21時過ぎの比較的早い時間帯ながら、すでに閉店していた。となると困るのが夕飯の問題で、駅前にも適当な食事場所が見つけられなかったので、結局はコンビニ頼みとせざるを得ないのだが、そのコンビニもすぐに見当たるようなものではない。幸い、ホテルのすぐ近くにセイコーマートがあるのは見つけられたので、セイコマでいつものようにカップ麺を手に入れた。買うのはいつもの品だけれど、やはり全国展開しているコンビニとは少し趣が異なる。デザート類の弱さに多少不満を残しつつ、夜も遅いので甘いものは諦め、ホテルにしけこんだ。

 毎度のことながら鉄道の旅の朝は早い。明日も5時には起きて5時半にホテルを出なければならない。窓の外には、北海道有数の都市のそれとも思えないほど暗い町並みが広がっていた。世の中の動きから隔絶されたかのような街のありさまに心細さを覚え、明日からの旅に何が待つのか、不安をぬぐえなくなってくるが、ここまで来たら後はできるだけのことをするだけだ。

つづく

この記事へのコメント