三条散歩

 3月になった。そろそろ今年の山も本格始動したいと思った。今年に入ってからは、2月中に石巻山に行った程度で、まだ山らしい山に登っていない。そこで狙いを定めたのは、京都の西に控える老ノ坂だ。古来、山陰道が通り、都から丹波路に抜ける最初の関門のような位置づけにあった峠である。見方を変えれば、都の結界の役割を果たす山だったとも言え、酒呑童子伝説の大枝山はこの近辺の山だったと言う説もあるし、そんな伝説にちなんで峠には、首塚大明神という京都に住まう者でも知る人ぞ知る神社がある。そこで、大原野から小塩山を踏み、首塚大明神に立ち寄ったりしながら、老ノ坂に抜けるコースを歩くことにした。

 ところが、迎えた決行の日の朝は、全国的に雨模様だった。一縷の望みを託して起点となる向日町駅まで移動してみたが、天気は回復せず、洛西の地には冷たい雨が降っていた。ここから天候が多少上向いたとしても、じくじくと湿った山道を歩くのはあまり楽しくなさそうだ。仕方なく山は諦め、京の冬の旅で行きそびれていた大聖寺に足を運んだりしてみたが、なお時間を持て余すことになった。宿はすでに京都に押さえているので、時間のつぶし方にほとほと困り果て、最後に、嚢中の秘とも言って良いプラン・三条通歩きに着手することにした。本当は、山科から嵐山まで歩く形にしたかったけれど、持ち時間を加味し、嵐山から三条大橋まで歩くことにした。計画が完全な形で実現できなかったのは残念なことだが、仕方がない。


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 珍しく京都駅からバスに乗り、嵐山に到着。スタート地点は渡月橋。スタート時刻は16時少し前。今でいう三条通は、かつての旧東海道が蹴上、粟田口を経て三条大橋に至り、その先嵐山まで続くようになったものと言うことができると思う。ただ、渡月橋から真東に京都市街方向に向かうと、三条というより二条に行き当たる。今日、京都市内を走る道の通称となっている三条通は、一本の道には違いないけれど、条坊制時代の名残そのままに、碁盤目状に東西に真一文字にひかれた道というわけではない。


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 桂川左岸に渡る。少し川沿いに歩いた後、昔ながらの古い路地に入って行く。嵐電の線路にも近いこの道は、幅員はそんなに広くないのに車の通行が多い。道の端っこを歩いていると、そのうち通行する車にはね飛ばれそうな怖い道である。道は、この付近で太秦を通る。通りを少し離れたところには大魔神が立っている。また、今は無き京都学園大学のCMロケ地(?)ともなったのが太秦広隆寺楼門前の三条通である。ちなみにCMでは、楼門はちょっと映り込むだけだった。


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 広隆寺の前にも嵐電の駅があるが、その先の蚕ノ社駅からしばらくは、嵐電の軌道が道路上に敷設されている。ちょうどこの辺りの三条通が北側に曲がっているので、三条を名に冠しながら二条のような位置まで上がることになっているようだ。蚕ノ社駅から先は道も広く、安心して歩ける。


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 太秦萌さんともコラボしていた三条会商店街。昔ながらのアーケード商店街。シャッター通りではなく、ちゃんと賑わっているようだ。


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 いつのまにか、三条通は洛内エリアに入っていて、町屋風の建物が目立つ街区の先には、烏丸通が横たわっていた。。そこを渡ると、観光ガイドブックにも出て来る、良く知られた三条通の区間にさしかかる。京都文化博物館があり、喫茶店や服飾店から昔ながらの商店まで、様々な店が立ち並ぶ小洒落た通りとなっている。


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 寺町通りや新京極通の近辺は、三条通でも最も繁華な一画だ。ここを過ぎると三条大橋は目と鼻の先。時刻は18時を回っていた。辛うじて明るさは残っていたが、宵闇の到来はもう間近。2時間余りの散歩となった。

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