山登ってみよう【望岳の下呂御前山】

 奥穂前最後の山は、下呂御前山こと空谷山にした。下呂温泉の後背にそびえるこの山は、下呂温泉を象徴する山…と言いたいところだけれど、最初に源泉がわき出したとされる湯の峰や、下呂温泉を直接見下ろす位置にある下呂富士と比べて奥まったところにある。標高も1400mを超え、里山と呼ぶにはいささか高く、古くから御嶽山の遥拝する山として登られてきたと伝えられる。以前私がこの山に登ったことがあるのも、主には御嶽山を展望する目的から来ていたのだけれど、今回は穂高の方を狙ってみることにする。考えてみれば、槍穂高入山前の儀式となっている、「近場の山から槍穂を望む」を今年はまだやっていなかった。一応、下呂温泉観光協会のホームページによれば
 
登山道中展望は望めないが頂上からの眺めは最高。すそ野を広げた御嶽はもちろん、乗鞍岳、穂高岳、白山など日本百名山に数えられる山々がその雄姿を見せてくれる。


とある。

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 青空フリーパスの高山本線北限駅は、下呂駅である。というわけでもちろん今回は青空フリーパスを購入し、朝一番の岐阜発高山行普通列車に乗り込んで、午前9時前の下呂駅に降り立った。駅を出て、飛騨川を渡ると下呂温泉の温泉街に入る。つい先日、上流に当たる萩原の方で荒れ狂った飛騨川は、一応梅雨明け後の晴天に恵まれた今日もまだ、荒々しい濁流と化していた。飛騨の山々は、まだその内にかなりの水をため込んでいるのだろうか。

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 まずは温泉街の一角にあるコンビニで水分と食料を補給した後、いよいよ山へ。下呂御前山はかなり上方まで林道が伸びており、これを利用することでかなりコースを短絡することができるが、私は駅から登ることになるので、登り3時間・下り2時間程度の道のりとなる。まず、本格的に山道が始まるまでは舗装道を1時間ほど登り続けることになる。登山口にはクマの出没について注意を促す掲示がなされていた。この近辺が普通にクマの出没するエリアであることは知った上でやって来たけれど、使われているイラストがヒグマのそれなのが、何とも言えない緊迫感を醸し出している。以前にやって来たのは春先の時期で、道々の樹林は葉を落としていて、だいぶ明るい印象だった気がする。今回はまさに森林浴と言った雰囲気で、青々と葉が茂っている。ところによっては昼なお暗いの言葉通り、晴天下とは思えない薄暗さとなっている。なんだかいよいよクマが出てきそうだ。

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 観光協会がネタ晴らしをしていたように、下呂御前山の登山道には展望がなく、はっきり言えば単調である。ただ、整備状態はかなり良く、緩急の付け方の巧みさもあって、五合目くらいまでは無理なく高度を稼いで行ける。五合目からは急坂が続くようになる。八合目の遥拝所くらいまではそんな調子が続き、遥拝所を過ぎると最後の仕上げとばかりに直線的な急登が行く手に立ちはだかる。今回は特にこの直登に手こずったけれど、11:45に頂を踏むことができた。温泉街の登り始めからは2時間半ほどかかっている。前回よりは20分ほど余分に時間がかかっているが、10年も経ったのだから、体力に陰りが見えるのも仕方がないとあきらめることにした。ちなみに、槍穂高はまともに見えなかった。雲がかかり気味で視界が良くなかったのもあるが、山頂付近の立木が視界を妨げる形にもなっていた。ついでに言うと、御嶽山もあまり冴えなかった。

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 ところで、今回の登山はもう少し簡単に済むのではないかと、どこかでたかをくくっている部分があったのだけれど、終わってみれば、歩行距離は15㎞弱、登高1181mとなかなかまとまった運動量の山行となった。奥穂の予行演習としては、むしろ好都合だったと言える。アルプスの模擬戦に登ることが多い、つまり私の中で手ごわい山近場の山ということになっている宇連山や三ツ瀬明神とほぼ同格ということになる。前回収集したデータによれば、奥穂を目指すにあたっては下呂御前+600mほどを登ることになる。下呂御前を登ってみて、まだ体力はあるのでもう600mを登る程度なら何とかなりそうな気がするのだけれど、実際それが一筋縄で行かないのはいつもの高峰登山で身にしみてわかっている通り。歩行距離・登高で言えば、白馬岳などは今日の下呂御前よりもずっと楽でなければ寸法がおかしいという話になるのだが、そうでないところに高地デバフの厄介さがある。

 ちなみに、過去にログを取ったことがある高山の歩行距離と登高は以下の通り。結局のところ、八ヶ岳以外は、どこも似たり寄ったりのしんどさだった気がするあたりから、体力切れより先に高山にやられたことを見て取れる。
白馬岳(小蓮華山経由) 1361m/10.1㎞
笠ヶ岳(笠新道) 1871m/8.9km
奥穂高(穂高岳山荘まで) 1794m/17.6㎞
八ヶ岳(赤岳・横岳・硫黄岳周回) 1055m/15.5㎞
※赤岳鉱泉スタート、美濃戸口ゴール

ついでに、近場のきつめの山は
三ツ瀬明神山(乳岩峡より) 1086m/12.8㎞
宇連山 1140m/12.6㎞
京都一周トレイル東山コースを踏破していれば、距離・高さだけなら奥穂高に比肩するコースになっていただろうと思われるだけに、アクシデントに見舞われたとはいえ途中で打ち切ったことが悔やまれる。

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