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zoom RSS 山登ってみよう【縦走東海自然歩道・椿大神社〜鈴鹿峠〜沓掛・後編】

<<   作成日時 : 2016/10/13 21:28   >>

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画像 11:53、石水渓野外研修施設に到着。道迷いでタイムロスがあったわりに、おおよそ当初の目論見通りの時刻にたどり着くことができた。ここで一服。キャンプ施設らしく、自販機も見つけたが、暑い夏の盛りのようなことはなかったので、持参した分の飲料だけで足りた。こんなところにも秋を感じる。

 この辺りからは、鬼が牙と呼ばれる岩峰が見える。道沿いには、野生の猿の姿も見えるが、道は、相変わらずの舗装道路だ。林道安楽越線である。東海自然歩道も、安楽越の鞍部までずっとこの道を辿って行く。林道は、滋賀県に入るまでずっと舗装道路である。

画像 安楽越(あぐらごえ)は、古く鈴鹿峠の間道として用いられた。鈴鹿峠ほど険しくなく、古代関所である鈴鹿関を抜ける必要がないので安楽な道だというところからその名がついたなどと言われる。鈴鹿に関所があったのは今から1300年前の話なので、関がないから云々と言うのは地名の起源説としては古過ぎる気がしないでもないが、それでも安楽越とはよく言ったもので、緩やかな坂が延々と続く。が、舗装道の辛いところで、足裏から伝わる衝撃が蓄積されてだんだん脚が痛くなってくるし、同じような筋肉をずっと使い続けるため、筋肉の疲労もたまって行く。息が上がらないので、淡々と歩き続けてしまうのが曲者だ。そんなこんなで1時間ほども歩き続けた12:52に、安楽越の最低鞍部に到着した。

画像 ここから、滋賀県側最初の集落である山女原(あけびはら)までは、林道を下り続けて2qほどの道のりらしい。しかし、東海自然歩道はなぜかそのようにはせず、右手に伸びる稜線へと登って行く。何でも、かもしか高原と言うところまで連れて行ってくれるのだそうだが、林道から見える木段は、足を踏み出すのを躊躇したくなるような急勾配となっている。一方で、かもしか高原までは15分ほどの寄り道でしかなく、歩行距離も1qほど伸すだけのものでしかないようだ。仕方がないので、なおも本線を辿る。急勾配の道に取り組むこと10分余り。どうにかかもしか高原までたどり着いたが、仙ヶ岳の支尾根に位置する緩斜面が切り開きになっているだけで、特に眺めが良いわけでもない。さらに、ここから山女原に下る道は、かなり急な下りになっている。しかも、部分的に崩落が発生しているようなありさま。何となく、苦労には釣り合わない寄り道と言う気がする。

画像 ただ、山女原までの下りは思ったより短い道のりで、20分ほどで集落の外れに出た。山女原は、山間には違いないが、存外開放的な集落だった。もちろん廃村というわけでこそなさそうだが、人の気配もあまりない、なんだか不思議な雰囲気のある農山村だった。いずれにせよ、あまり大きな集落ではないので、あっという間に抜けてしまう。既に歩いている石山寺以降の区間を別にすれば、滋賀県で最初ということになる人里は、すぐに遠くなり、指導標に見えはじめる鈴鹿峠の文字。時計を見ると、13:43。距離は、3.8q。ちなみに、その次に見えるのは東海道の宿場である坂下の文字。こちらは残すところ5.3q。指導標にある前途の距離を削り取り、すでに通過してきた距離に付け足す作業。消耗してくると、東海自然歩道歩行はそんな様相を呈してくる。

画像 鈴鹿峠までもう3.8qと見るべきか、まだ3.8qと見るべきか。道は、まだ峠道と言う感じではない。むしろ未舗装車道規格の、ゆるゆるとしたまろやかな山道が続いている。この調子で鈴鹿峠までの距離を詰めていければ良いのだが。そんなことを考えながら歩いていると、まことに都合の良いことに、そんな道が思いのほか長く続く。鈴鹿峠までの距離は3qを切り、ついには2qを切った。それでも、本格的な登りは始まらない。やはり、鈴鹿峠は片峠なのだ。滋賀県側から登る場合には、そんなに大したことのない登りなのだ。そう結論付けようとした時、ついに目の前に激登りが姿を現した。鈴鹿峠までは、1.2q。尾根道を登る急坂だ。片峠理論はあっという間に破たんした。登りはじめに古いベンチがあったので、とりあえず休憩。

画像 手持ちのガイドによれば、鈴鹿峠への道は手すりの腐った木段があるような急坂となっている。しかし、目の前の坂には木段はない。ガイドの内容が古くなっているのかもしれない。そんなことを考えながら登っていると、問題の木段は10分ほどで姿を現した。本に書いてあるほど状態は悪くないが、急であることは間違いない。下るよりは登る方が気楽な道なのかもしれない。さらに5分ほど登るとトップと思しき尾根に出た。旧東海道の難所として知られた鈴鹿峠よりもかなり高い地点のようで、ここから東海道までは下って行くことになるらしい。そして14:47、ついに東海道の鈴鹿峠と合流した。ここも茶畑の中の辻である。目指す関方向とは逆に300mほど歩くと路傍休憩地があることになっているが、ここに来て休憩のために300mの寄り道をするのは億劫だ。休憩地とは反対方向、左手の三重県側に向かう。ただ、今にして思えばこれは失策だった。休憩地としてはありがたくない場所に設置されていても、我慢して付き合えば、万人講常夜灯という大きな石灯籠を見学できたはずだ。

画像 旧東海道と東海自然歩道の重複区間は、石畳の道となっていた。江戸時代から残っていたものとは思えないのだが、ともあれこれに沿って歩いて行くと、5分ほどで国道1号に突き当たった。鈴鹿峠を踏み越えれば、今日最後の難敵は下したことになる。後は、下るだけ。それでもゴールまで10qほどあるのが苦しいところだが、ここまで来たら歩き抜くしかない。1号の下を潜り抜け、今は何もないらしい片山神社の前を通過。

 間もなく、国道1号の歩道と言うか、側道に出た。ここからは、少なくとも1号沿いに下って行けば間違いなく関駅までたどり着ける。その事実が何となく心強い。峠道なので、歩道のない区間はあるかもしれないが、そんな時は旧東海道に逃げれば良いのだ。二つの道は絡み合うようにして峠を下る。また、ガイド本の内容を見るに、この先の自然歩道は、沓掛まで終始旧東海道を辿れば良いようにも見える。一つだけ不思議に感じられるのは、道沿いに時おり立っていた指導標だ。明らかに東海道を外れて脇の山道へと誘導している。それだけならその案内に従うまでなのだけれど、基部の「東海自然歩道」の文字だけが白く塗りつぶされている。道が付け替えられたのか。東海道と紛らわしいと苦情があって、臭いものにふたをされたのか。いろいろ考えられはするが、ちょっとだけ見える山道は、けっこう無茶な急傾斜だ。東海自然歩道の六字が削除されているのをこれ幸いと、旧東海道沿いに歩く。

 が、かつての坂下宿は、現在では残念な状態となっている。大きな生活道路が縦貫する鄙びた山間の町と言った風情ではあるけれど、東海道の宿場の面影はほとんどない。本陣跡、脇本陣跡の石碑が立っている程度だ。時折古い民家もあるけれど、宿場の名残であるという確証はない。全ての宿場町が旧情をとどめているというものでもないが、例えば手近の間宿である有松などとはかなり様子が違う。と言うか、山奥で都市化の波に洗われにくい環境だっただろうに、隣接する関との落差が甚だしい。

 15:29、鈴鹿馬子唄会館前に到着。未だ沓掛に届かないのもさることながら、思ったより関が遠い。もしかして、坂下と関の間にもう一宿あっただろかとの疑念が頭をもたげてくる。馬子唄会館の敷地脇には、お江戸日本橋から京師三条大橋まで、東海道五十三次の宿場町の名を刻んだ木のオブジェがあった。何に使うものなのかはよく分からないが、少なくとも土山、坂下、関の順で並んでいることだけは間違いなかった。

画像 しばし休憩の後、再び歩き出し、15:50に青い塗色がまぶしい東海自然歩道沓掛歩道橋にたどり着いた。国道1号を跨ぐ歩道橋としては、逢坂山のそれ以来だが、全線通して二つだけの物なのだと思う。今日は、この歩道橋を渡らない。この次、三重県完全決着を期するときは、この橋を渡るところからスタートを切る。次のコースは、徳川家康伊賀越えの道としても知られる加太越え。実際には、おそらくそれよりもさらに北側の、険しく、そして迂遠な山道を、東海自然歩道は辿るのだと思う。

 しかし、今日はひとまず終わりにしよう。関駅まで、さらに歩く。東海自然歩道の支線とも言われる観音山歩道を歩くことも考えられたが、それまでの余力はない。国道1号をなお1時間ほども歩き、16:46に関駅にたどり着いた。累積標高の違いはあるけれど、終わってみれば鹿島槍の時よりさらに長い7時間半の歩行となっていた。

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 高山納めも無事終了し、東海自然熱が高まりを見せる中、体育の日を含む三連休は、相変わらず天気がさえなかった。いちおう日曜日から上向く予報ではあったけれど、朝一番まで雨が残った感じだったので、椿大神社〜関までのビッグファイトは月曜日まで持ち越すことになった。仕事の前日に長距離歩行と言うのはあまり上手くない気もするけれど、まだ鹿島槍で7時間歩いた時の余韻が残っていたし、来週は佐渡に行くので、この機会を逃すと決行が再来週までずれ込む。それよりは、一刻も早く挑みたい気持ちが強かった。 ...続きを見る
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