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zoom RSS 山登ってみよう【東海自然歩道アナザー・伊勢神峠〜大正村・後編】

<<   作成日時 : 2017/06/12 22:14   >>

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画像 岐阜県に入った直後は、先ほど私にプレッシャーを与えてきた山の斜面と平行に歩いていたが、間もなく車道脇の山の中へ。たぶん、かなり等高線が密なのだろう斜面を登っていく。一応はジグザグに折り返す程度の配慮はしてくれているのだけれど、それでも今日一番の急坂だ。距離も距離、気温も気温と言う状況で歩いてきた中、なかなか辛い戦いだ。余裕のなさに、視線が下を向く。ふと顔を上げると、何かがこちらをガン見している。クマ…ではないようだ。カモシカだ。身じろぎ一つせずこちらを見ている。あえて人間を襲ってくる感じの動物ではないと思うけれど、あまり見つめられるとなんとなく怖いではないか。

 距離を詰める。ある程度のところまで近づくと、それまで剥製か何かのように動かなかったカモシカは、脱兎の如く逃げ出していった。彼らはこういう環境での暮らしに慣れているから、身軽なものだ。私は、だらだらと登山道を登り続ける。どうも彼らが利用するところの獣道と、自然歩道は、あちこちで絡み合っているらしく、その後も二度ほど、同一個体と思しきカモシカと出会い、逃げられるというのを繰り返した。カモシカ以外に、サルや、野兎ともリスともつかない小動物にも遭遇した。結構、野生動物の多い道らしい。幸い、クマには会わなかった。

画像 麓から見た限り、比高差300mほどの山並みに感じられたが、そのほとんど全てをきっちり登りきる感じの道となった。14:09、鞍部に到達。間もなく林道と交差した。少し離れたところに三本松休憩所があるのだそうだが、100mほど離れているのだそうだ。ちょっと疲れが見えてきたのだけれど、その100mの寄り道も、それはそれで面倒くさい。柿畑集落に向かって一気に下る道を選ぶ。が、下りの道はいいところ100m程度に過ぎず、10分ほどで集落の外れに出た。イノシシ・カモシカ除けのものだという電気柵によって人里と山が区切られている。珍しく、登山道自体も柵で遮断する配置となっている。昼間、たぶん8時から17時までの間は通電していないということだが、もし何かの間違いで電気が通っていたらいやだなと思う。少し前に伊豆であった、改造電気柵で人死にを出したという事件を思い出す。聞けば原因を作った老人は自殺したのだそうだが、だれも何も得をしない事件だったなと、感慨にふけった。

 300mの斜面を登った先にある集落なので、本当に素朴な山里を想像していたのだけれど、この柿畑やさらにその先に続く集落は、割と開けた印象の地区だ。土地も比較的に平坦で、蔵持ちの家が多いのも印象的だ。地区の目抜き通りとなっていると思しき車道を歩く。ちょっとした脚安めではないが、この先しばらく山越えはなさそうだ。そして進むにつれ、次第に商業施設の類も目に付くようになる。入浴施設や宿泊施設、JAのATMなどもある。ただ、今一番欲しているもの、冷たい飲み物を手に入れられそうな場所がない。ガイド本でもその名を見られたお寺、黄梅院の近くでコカ・コーラの自販機を見つけたが、どうも死んでいるらしく、ぬか喜びに終わった。

画像 ちなみに、黄梅院と言うのは武田信玄公の息女と同名である。東濃の地は武田氏の影響力が色濃く及んだ地域なので、もしかしたらゆかりの寺なのではないかと思って冷やかしてはみたものの、どうやら関係なさそうだった。自販機は少し進んだガソリンスタンドの傍らで見つけた。これ自体はガイド本の情報で事前に知ってはいたのだけれど、自販機程度だと過去にあったものがいつの間にかなくなっていてもおかしくはないので、見つけた時にはそれなりの喜びもあった。

 一服後、颪(おろし)方向に車道を下る。ひっきりなしにと言うほどではないけれど、それなりに車の通行がある道を歩く。かなり急傾斜で高度を下げていくのに、何かもの悲しささえ覚える。たぶん、矢作川から明智川を遡行して颪に至れば、ちょっと前までの苦しい登りはまったくパスできたのだろうなと思うと、徒労感が募ってくる。中山橋に至り、T字路を右に進むと明智町と言う道路標識があるのを無視して、左に進む。

画像 そして、颪からは再び山の中に入って地道の登り。意外に細かくアップダウンを強いられるのが今日のコースらしい。恵那コースは本線コースに比べてネット上の歩行記が少ない。地形図を見て概略はわかるにしても、歩行実感みたいなものがつかみにくいのは意外と厄介なところだ。ただ、颪からの山道はは200mほどの登りで済むのと、傾斜がそれほどにスパルタンではないので、付け入るスキはある感じだ。それに時刻が15時を回り、空に雲が出て気温が下がってきたのも追い風と言えば追い風だ。もっとも、日が傾き始めたことで、この谷間の登りになんとも言えない陰気さが加わりもしているのだが。

画像 颪を経由したのが15時半、その先の下柏尾地区にたどり着いたのが16時のことだった。下柏尾は、集落と言うか廃村のような雰囲気である。家とも寺ともつかないような建物は目につくけれど、人が住んでいそうな感じではない。道沿いには一面ソーラーパネルが並べられていたりして、いかにも無機質で人気の希薄な印象の風景が広がる。車の排気音のようなものが聞こえるので、人の生活圏が近いことだけはわかる。少し進んで普通の民家を見つけた時には、不思議な安堵感があった。

 登り下りに加えて回り道っぽいコース取りも多い今日の道のりだったが、ここからゴールまでは割と素直に北上する感じのはずだ。舗装道路を歩く。ブラタモリは、微妙な情勢となってきた。頑張れば間に合わなくもなさそうだが、かなり疲労がたまってきた。考えてみれば、歩行距離にして30q超、歩行時間は7時間後超えの道なので疲れないはずがないのだ。まだ若干脚を残している感じはあるので、走るという選択肢も考えられなくはなかったが、疲れた足には無視できない微妙な登り勾配の道が続く。しかも、今日の実質的な最終目的ととなるだろう千畳敷公園を射程圏内に収め、道はなおも登り始めた。当然、走れない。まあ一応、車が走るためのだらだらした登りなのが救いと言ったところか。体感的には10分ほど登り坂が続いただろうか。明智ヒルトップサーキットという施設の入り口辺りで、登り坂は終わった。それにしても、先ほど来続いていた爆音の発生源はここだったのか。よりにもよって自然豊かな山奥にこういう施設を作るのか。それとも迷惑施設だから山奥に追いやられるのか。

画像 まあ、ヒルトップと言うくらいだから、ここから先明智の街中までは下り一方となるだろう。そう思っていたら、下り坂が一段落したあたりで、道は再び林の中へ。いやな予感がする。管理状態があまりよくなさそうな道なのも気になる。が、仕方ない。暗い林間の道に突き進む。幸い、登りらしき登りもなさそうだ。そんな風に安心していたら、遠目に指導標のようなものが見えてきた。小高い丘へのとっつきいたいな場所に立っている。いやな予感がする。果たして、東海自然歩道はその微高地方向に分岐していた。

 木段を登る。普段なら大したことない登りだが、ここに来てこれはうんざりする。恵那コースは、なかなか攻めてくる道らしい。しかもこの区間に関して言えば、わりと倒木が多かったり、藪化しかけた場所があったり、市街地に近いくせに今日もっとも管理水準が低い。うんざりし始めたころ、唐突に山道は終わりを迎え、千畳敷公園のグラウンドの一画に飛び出した。その脈絡のなさに、腰砕けになる。

 時間のせいもあるだろうが、なんだか寂しい感じの公園だ。広大なオープンスペースの中に放り出されたので、コースをロストしそうなのも頼りない。注意しながら進む。一応、要所に指導標は立っているのだが、そのうちの一本が指す方向が良くわからず、足が止まった。このあたりの指導標は比較的近年に導入されたもので、付近の線形と指導標の立つ位置、そして進行方向を矢印で示しているのだけれど、肝心の線形が現況と微妙に違う気がする。仕方なしにタブレットを取り出して進行方向を比定しようとするが、GPSがぶれているらしく、これも信用しきれない。ええい、ままよ。一番手近にある下り坂を下る。結果的にワープとなるかもしれないが、市街地に出た方が話が早そうだ。捨て鉢な気持ちで坂を下っていくと、どうやらそれが正解だったらしく、県道との出会いで東海自然歩道の指導標を見つけた。

画像 自然歩道はこの先、若干明智市街をまいて進んだ後、大正村の縁をなでるようにして続いて行くのだけれど、帰りの電車・バスの時間問題に加え、雨がぱらついてきたので、県道をまっすぐ歩いて明智駅を目指した。次回は、この指導標から次の区間を開始することになる。明智は山の中の街だけれど、明智鉄道によってJR恵那駅と結ばれているのに加え、同じくJRの瑞浪駅と路線バスによっても結ばれている。駅到着は17:19。どうやらブラタモリは諦めざるを得なくなったが、よほど遅い時間のゴールとならない限り足がなくなることもないのは、強みと言えば言えるだろうか。駅で、千種駅までの通し切符を買う。JRの駅まで出れば、あとは中央線一本で帰れるのも、最近の東海自然歩道歩行にはないお手軽さと言える。

画像 帰りの電車のシートに体を投げ出し、なんとなく今日の総括のようなことをする。歩行時間は7時間半。距離を考えれば妥当なところだけれど、長距離を歩くのに加え、思ったよりアップダウンがあったので、手ごわい道だったのは間違いない。累積標高は、もしかすると1000mほどになったかもしれない。構成を鑑みるに、何となく逆回りのほうが楽なのだろうなと言う気がするが、多少苦労するくらいのほうがトレーニングには好適と言えるのだろう。惜しむらくは、スタートが遅くなったことで帰りが遅くなったことか。次回、明智までの移動は効率的に立ち回らなければ。

 そんなことを思い、電車の乗り継ぎやバスの本数を調べ始める。そして気づいた。明智鉄道で恵那まで出るより、バスでダイレクトに瑞浪を目指した方が早くないか?そして、瑞浪まで速やかに移動すれば、一本早い中央線で帰れたのではないか?そのことに気づいたとき、問題のバスが明智駅前のロータリーにやってきた。今となっては2000円近い切符を買った後なので詮無きことだった。

 2時間半かけて、家まで帰り着いた。テレビをつけると、ちょうど未来のあなたに幸せを贈っているところだった。

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 愛知県に住んでいても、昔でいう旭町だとか小原村だとかのあたりにはトンと縁がない。そこで、東海自然歩道恵那コースを歩くときは、矢作ダムまで歩いた後においでんバスに揺られ、加茂郡界隈を流しながら豊田市街に戻ろうと思っていた。岐阜県側に踏み込むと途端に交通の便が悪くなるので、この辺りが引き際だろうというのもあった。しかし、もとより槍向けに企画していたのがこの歩行でもある。どうやら飛騨沢を諦めて上高地から攻めることになりそうだというのが見えてきた今、奥矢作で歩行を打ち切るのでは鍛練にならないと思... ...続きを見る
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