知らない五人男
ブログに使えそうなネタを見つけると、何か気の利いたことを書いてやろうと意気込んだは良いものの、別に対して面白いことがかけるわけでもなく、いたずらに時を過ごすだけに終わることが珍しくない。どうせ普段から下らないことしか書いてないブログなのにね。と言うわけで、今回は掲示板の方にも書き込みがあった秋田のトンネル怪談について。もはや他のブログでも散々話題になっている。
私が行った事のある土地の北限が山形県新庄市なので、秋田県周辺の土地勘はないのだけれど、秋田中央道路というのがあるのだそうだ。で、秋田駅の東西をつなぐとか言うトンネルがあって、どうやらそこの交通量が多いためか、車の事故や故障が多いらしい。開通後約1年になるこの道路で、「8月までの事故は19件だった。特に下り車線の山王から約500メートルの区間に10件の事故が発生。ガス欠などの故障も17件あり、山王口と駅東口付近に集中している」のだそうだ。駅近くなので、秋田の街の真ん中と言って良いのだろう。
件のトンネルをめぐるasahi.comの記事は、合わせて「武士の幽霊が出る」という巷のうわさを紹介している。どうも地元の道に通じたタクシー運転手の談話であるように読める。また、中央道路での事故処理を行う警察官の「『何かいるのでは』という話はよく聞く」という証言も紹介している。さらに因縁めいた話は続く。もともとこの付近は墓地だったらしく、40年ほど前の工事でこれを動かしたのだそうだ。また、近くのお寺には「五人男の墓」という五つの墓石があるという。そのはっきりした素性はわかっていなさそうだが、「江戸時代に悪事を働く武士を倒し、打ち首になった侠客(きょうかく)たちの墓という説がある」らしい。
もっとも、問題の記事はこれでもかと禍々しい因縁を匂わせているものの、途中からはあっさり手のひら返し(?)をして、きわめて合理的かつ科学的に事故やトラブルの分析を行っている。記事全体を読み終えた後でもう一度頭から内容を読み返してみると、前半の怪談パートと後半の事故報道・交通安全啓蒙パートの不調和はかなりのものだ。記事として読ませるための工夫だったのかもしれないが、全体のバランスから言えば、くだくだしく展開された武士の幽霊だの五人男だのの話は大半が蛇足である。
また、例によって秋田近辺の「五人男」の話を検索してみたのだけれど、これまた例のごとく、この記事について言及したページ以外はヒットしてこない。記事の最後では都市伝説研究家として知られる関西学院大学島村恭則教授のコメントを載せているが、結局マイナーなうわさをマスコミが広めるというパターンにはまったのだろうか。asahi.comが発した記事だからといって、「アサヒった」わけでもないのだろうが。
それはさておき、幽霊がしたとかいう怪談は、日本全国どこにでもあるものだけれど、秋田は幽冥論に傾倒した平田篤胤のお膝元だ。そう考えると不思議な感慨もある。秋田と言えばなまはげなんかもいるし、いつかはプリミティブな秋田の民俗を見に行きたいものだ。
■武士の幽霊が事故を呼ぶ? 秋田のトンネル1年で19件
※後日記
この記事を書いた翌々日、「世にも奇妙な物語」で深キョン主演の「死後婚」というのをやっていた。結婚しないまま死んだ者を死後に結婚させる風習にまつわる怪談だったが、こういった風習は実在するらしい。ドラマの死後婚はドラマ仕様になっていたが、劇中出てきたような絵馬は「ムカサリ絵馬」と呼ばれ、実物も似たような雰囲気のものである。最上あたりに伝わるらしく、これまた東北のプリミティブな風習の一つと言える。
■ムカサリ絵馬
私が行った事のある土地の北限が山形県新庄市なので、秋田県周辺の土地勘はないのだけれど、秋田中央道路というのがあるのだそうだ。で、秋田駅の東西をつなぐとか言うトンネルがあって、どうやらそこの交通量が多いためか、車の事故や故障が多いらしい。開通後約1年になるこの道路で、「8月までの事故は19件だった。特に下り車線の山王から約500メートルの区間に10件の事故が発生。ガス欠などの故障も17件あり、山王口と駅東口付近に集中している」のだそうだ。駅近くなので、秋田の街の真ん中と言って良いのだろう。
件のトンネルをめぐるasahi.comの記事は、合わせて「武士の幽霊が出る」という巷のうわさを紹介している。どうも地元の道に通じたタクシー運転手の談話であるように読める。また、中央道路での事故処理を行う警察官の「『何かいるのでは』という話はよく聞く」という証言も紹介している。さらに因縁めいた話は続く。もともとこの付近は墓地だったらしく、40年ほど前の工事でこれを動かしたのだそうだ。また、近くのお寺には「五人男の墓」という五つの墓石があるという。そのはっきりした素性はわかっていなさそうだが、「江戸時代に悪事を働く武士を倒し、打ち首になった侠客(きょうかく)たちの墓という説がある」らしい。
もっとも、問題の記事はこれでもかと禍々しい因縁を匂わせているものの、途中からはあっさり手のひら返し(?)をして、きわめて合理的かつ科学的に事故やトラブルの分析を行っている。記事全体を読み終えた後でもう一度頭から内容を読み返してみると、前半の怪談パートと後半の事故報道・交通安全啓蒙パートの不調和はかなりのものだ。記事として読ませるための工夫だったのかもしれないが、全体のバランスから言えば、くだくだしく展開された武士の幽霊だの五人男だのの話は大半が蛇足である。
また、例によって秋田近辺の「五人男」の話を検索してみたのだけれど、これまた例のごとく、この記事について言及したページ以外はヒットしてこない。記事の最後では都市伝説研究家として知られる関西学院大学島村恭則教授のコメントを載せているが、結局マイナーなうわさをマスコミが広めるというパターンにはまったのだろうか。asahi.comが発した記事だからといって、「アサヒった」わけでもないのだろうが。
それはさておき、幽霊がしたとかいう怪談は、日本全国どこにでもあるものだけれど、秋田は幽冥論に傾倒した平田篤胤のお膝元だ。そう考えると不思議な感慨もある。秋田と言えばなまはげなんかもいるし、いつかはプリミティブな秋田の民俗を見に行きたいものだ。
■武士の幽霊が事故を呼ぶ? 秋田のトンネル1年で19件
※後日記
この記事を書いた翌々日、「世にも奇妙な物語」で深キョン主演の「死後婚」というのをやっていた。結婚しないまま死んだ者を死後に結婚させる風習にまつわる怪談だったが、こういった風習は実在するらしい。ドラマの死後婚はドラマ仕様になっていたが、劇中出てきたような絵馬は「ムカサリ絵馬」と呼ばれ、実物も似たような雰囲気のものである。最上あたりに伝わるらしく、これまた東北のプリミティブな風習の一つと言える。
■ムカサリ絵馬
この記事へのコメント
藤子不二雄の短編でも死後婚のような話があった気がします
かなり昔の作品でしたが、確か東北が舞台であったと記憶しています