山登ってみよう【京都一周トレイル・東山コース・完結編・前編】

 このご時世に不思議な気はするのだが、京都一周トレイルの歴程は、ネット上で見つからない。wikipediaに関しては、京都一周トレイルのページすら見つからない。ただ、何となく東山コースが核となって成立した物なのではないかと踏んでいる。何と言っても、京都人にとって最も身近な山であろう東山三十六峰を辿るのだから、非常に象徴的な意味合いを持つような気がする。経由する主な山は、稲荷山、阿弥陀ヶ峰、清水山、大文字山、そして比叡山など。それぞれ伏見稲荷の山、豊臣秀吉の葬られた山、清水寺の裏山、言わずと知れた五山送り火の山、そして鎮護国家の大道場が開かれた霊場の山ということになる。

 その全長は約25㎞になる。1日で歩けない距離ではないので、はじめてこのコースを歩こうとした時は1日で歩き切るつもりでスタートを切ったのだけれど、終わってみれば集中力が続かず、3回に分けて歩き切る形になってしまった。これが良くなかった。いちおう盆地の三方を囲むコースをすべて歩き切った今でも、やりきった感が足りない。そこで、リベンジマッチを挑むことにした。

 初めてこのコースに挑んだときは、どうも前日から京都に泊まり込み、朝一番から行動を開始したようだが、今回は新幹線で当日の朝に京都入りし、下山後一泊する方針を採用。ただ、こうしたことで、宿泊と翌日観光分の準備が必要となり、荷物がかさばってしまった。山行はともかく、それ以外の行動の拠点は河原町となるので、いつかやったように河原町駅のコインロッカーに不要な荷物を放り込み、祇園四条駅から京阪電車に乗り込む。

画像 東山コースのスタート地点は、京阪の伏見稲荷駅だ。7:49、スタートを切る。まずは伏見稲荷の参道を通り、その境内へ。本殿を見ながら千本鳥居の方に進む。千本鳥居に入ってしまったら後はしばらく道なりに進めば良いが、前回はその先の三つ辻で道を間違え、時間をロスしてしまった。今回は同じ失敗を繰り返さない…と息巻いていたけれど、うっかり前回の轍を踏みそうになってしまった。どうも、駅をスタートしてから東方向に進むので、目指す四つ辻を左方向にとらえるイメージがあるのだけれど、実際には道中で緩く北進を始めているので、三つ辻で左に曲がると下山方向に進んでしまうと言う道理である。念のため、確認を怠らず進んでよかった。稲荷山有数の展望地である四つ辻には8:13到着。

画像 トレイルのコースは、稲荷山の山頂には進まず、北の泉涌寺を目指す。道は始まったばかりなので、まだ休憩などはとらない。と言うか、最初の休憩地点は大文字山に設定している。まあ、コース構成からして、大文字山まで一気に歩いて、比叡山にはじっくり当たらざるを得なくなるであろうことは想像に難くない。

 四つ辻のその先は、緩い山道がいつしか参道になり、参道が舗装された山道になり、それもいつしか生活道路になりといった調子で、気が付けば住宅地の中に出る。場所が場所なので広大な新興住宅地と言うより、山間の昔からの家並みと言う感じだ。起伏も多く、道は入り組み、実は今日のコースの中でもっとも迷子になりやすい個所と思われる。若干コースをロストしかかったものの、同好の士と思われるおじさんがここで私に先行したので、何となくそれに追従して行くと、無事迷いの宅地を抜けた。皇族の陵墓を見つつ、8時半ちょうどに泉涌寺の前を通過。前回来たときは門の入口あたりにいたガードマン?のおじさんに道を教えてもらったが、今回は時間帯が微妙に違うためか、人影はなく門は固く閉ざされている。

画像 葬送の地・鳥辺野の裾を巻きつつ、またも住宅地を抜け、ちょっとした山林の中に進む。そんなに坂を登る感じはないが、これが阿弥陀ヶ峯峰の東側だ。やがて道は林の中を抜け出し、国道1号に突き当たる。実はここも因縁の場所で、前回はこの付近で道を見失い、かなり大回りして無理やりコースに復帰した。1号の下をくぐることは間違いないのだけれど、これがひどい初見殺しである。国道の下をくぐると言うので、高架下道路みたいなのを想像しながら道を探していたのだけれど、実際にはこれが歩行者専用道路である。そして、1号から豊国神社方向に下る道の上り線側歩道だけが地下通路化しているので、伏見方向から歩いてきて前方右手ばかり注視していてもそれらしき高架下道路など見当たらないのは当然なのだった。ただ、いちおうこの場所にも指導標はあるので注意深く探していくしかない。今回は、危なげなく国道の下を通過。国道上り車線側では警察によるネズミ取りが行われていた。念のため、この先の進路を示す指導標も写真に収めておいたが、取り締まる側取り締まられる側双方から不審の目で見られる始末。

画像 やがて、国道1号と清水寺方向を結ぶと思われる細い道路の脇から、清水山に登る道が始まる。前回は、五条坂方向からこのポイントに合流した記憶がある。緩やかな山登りを10分ほどこなすと、道はほぼフラットになった。さらに10分ほどで東山山頂公園に出た。東山ドライブウェイから車で入れる場所なので、そうした人向けに展望台があったり、自販機にトイレもあったりする。が、休憩にはまだ早い。前回来たときはまだ工事中だった将軍塚青龍殿が完成している。基本的には有料施設なのでスルー。聞けば、青蓮院蔵の国宝・青不動明王はこちらに移されているのだそうである。少し前に青蓮院門跡に行った時に、将軍塚までバスが出ていると言われたのは、ひとえに目玉の一つである蒼不動が引っ越ししていたことにあったのだと納得。なお、京都一周トレイルは青龍殿の縁を延びてはいるものの、青龍殿側のガードが固いため、木造大舞台から京都盆地を眺めている一般の観光客にしてみれば、足元の茂みに怪しげな人影が蠢いているように見えるのかもしれない。

画像 ここから道は下りはじめ、粟田口へ。以前の時は青蓮院門跡の脇をかすめる急坂に難渋したのが印象深い。急な上にスリップ転倒しそうな地道の先に有刺鉄線が張られていると言うおっかない道だったのだけれど、いろんな意味でこれはまずいと言うことになったのか、ジグザグに折り返し傾斜も緩やかな新しい道に付け替えられており、古い道は廃道になった旨が掲示されていた。

画像 蹴上交差点に至る。時刻は10:01。予想以上に早い。前回、スタート時刻は今日とほぼ同じはずだったのだけれど、それと比べて1時間余り早い進捗である。前の時は稲荷山で20~30分ロスしたかなあ、国道1号を五条坂まで下って登り返すとさらに30分ぐらい伸すかなあと、頭の中で計算してみる。今回、コースの概要がおおよそわかっているので足取りに迷いがないのと、特に目新しいものがないのでずんずん歩いているのも影響しているのだろう。脚力が増強されたとか、そう言うのではないのだと思う。

 ともあれ、まだ全体の半分に手がかかるかどうか位のところまで進んだに過ぎない。稲荷山を下ったところで出会ったおじさんとはつかず離れず歩いてきたが、蹴上交差点の信号待ちの差で圧倒的な差をつけられてしまった。基礎体力はほぼ互角と見た。恐らくこの先彼と出会うことはあるまい。

つづく

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