流れ流れて生駒テラス

画像 最近ちょっといい感じの高原リゾートのテレビコマーシャルが流れており、気になっていた。その名も「びわ湖テラス」という。名前からして滋賀県のものと言う感じはするが、詳しくはどこにあるのかと調べてみたら、蓬莱山の主稜線上にあるのだという。いつか登った武奈ヶ岳の隣みたいな山で、そんなに山深くにあるわけでもないが、標高は1000mほどになる。蓬莱山という名前も仙人が住んでいそうでファンタジーだし、これはいっちょ登ってみようという気になった。

 蓬莱山への登山道は、何コースかがあるようだ。武奈ヶ岳の時と同様、京都側から登ることもできるようだが、どうせ出町柳からのバスを当てにしなければならないやつなので、正攻法で滋賀県側から登ることにする。滋賀県側コースもメジャーなところで大別すると、JR湖西線の蓬莱駅近辺からアタックするものと、同じく志賀駅からのものとがあるらしいが、蓬莱駅から金毘羅峠と言うのを経由する道は崩落が進んでおり、結構危ないことになっているのだそうだ。しからばということで、志賀駅からアプローチすることにした。こちらのコース、いわゆる琵琶湖バレイのロープウェイと絡みながら行くような道なので、変にマイナーなルートを選ぶよりは心安そうだ。と言うか、普通の人はびわ湖テラスに行くときロープウェイを使うと思われる。

 と、考えていたのだが、これが甘かった。

 さらに突っ込んで調べてみると、地元ではメジャーな山のはずなのに、今シーズン無雪期の蓬莱山に登ったという情報は、ネットを調べてもまともにヒットして来ない。さらに詳しく調べてみると、昨シーズンくらいに蓬莱山域で規模の大きな土砂崩れがあったらしく、主だった登山道は倒木や崩落などで惨憺たる有様のようだ。まあ慣れた者なら登れば登れないでもないといった程度の状況のようだが、同じ滋賀県の東海自然歩道で倒木の道のシビアさは思い知らされていたので、倒壊自然歩道の恐ろしさは知っている。これは容易ならざる道かもしれにと思い始めた。どうも比良山系自体が崩れやすい山らしく、長野県などで言う相対協的な組織が、比良山系で相次ぐ遭難事故の惨禍を盛んに情報発信している。

画像 これは大丈夫なのだろうかと思いながら迎えた決行当日。数日前からの週間天気予報では雨に見舞われるはずの土曜日だったのが、降雨のタイミングが早まったおかげで、山に着くころには雨が上がっていた。もっとも、蓬莱山と思しき山の頂付近はガスにまかれている。そしてもっと良くないことに、体調が芳しくない。風邪気味で、微熱があるような気がする。なんだかんだ言っても1000m程度の山だからと甘く見ている気持ちは否定できなかったが、これはちょっと悪条件が重なりすぎている。南アルプスよろしく蓬莱親父と言うのがいるとすれば、「山を舐めるな!」と言ってぶん殴られそうな状態である。今回は、シーズン中の土日なら志賀駅からロープウェイ乗り場まで江若バスが直通バスを走らせていることが分かったのを収穫に、引き上げることにした。と言うか、そのロープウェイ乗り場にしてから、山頂付近は視界不良、リフトは運行中止と掲示しているのだから、無理して登っても楽しいことなど何もなさそうだ。どうも私は比良山系に愛されていないような気がする。思えば武奈ヶ岳攻略にも手間取ったが、より気位の高そうなアルプスには愛されていそうな気がするので、良しとしよう。

 でも、どうしよう。ここに来るまで忘れていたが、比良山系は、在来線でやってきて在来線で日帰りできる程度には近い。それが、朝の早い時間帯から計画中止を決断してしまったので、時間の使い方に困ってしまった。観光シーズンの端境期に当たっているためか、比較的直近になってもルーマのカプセルが抑えられたので、間の悪いことに宿の予約までしてしまっている。これからチェックインまでの8時間程度の時間をどうつぶすのか。普通に考えれば京都市内観光なのだが、一応山狙いでやって来たので、山っぽいことはしたい。比叡山に登る?いや、比叡もそんなに遠くない時期には登っている。そこで思いついた。生駒山に登ろうではないか。

 生駒山は、奈良県と大阪府の間に横たわる山である。一応、滋賀の隣県であり、京都の隣県であるということはできるのだけれど、近鉄けいはんな線と生駒山ケーブルはまだ取り残しになっているのを思い出した。何を言っているのかわからないと思うが、奈良平定を考えるうえでこれは目の上のたん瘤と言える。ここさえ取れば後は、禁断の大回りとわずかの長距離射撃で奈良県は制覇できる。御所線はそれこそダイヤモンドトレールを歩いたときに乗っているし、もう実車に乗らなくても良いだろう。

 京都駅まで進み、単なる大荷物と化した登山用のブーツをコインロッカーに放り込む。300円サイズのロッカーで十分なのに、小型ロッカーは数が少ないらしく、500円のものを使わざるを得なくなってしまった。24時間以内の利用では決着しないのがわかっているので都合1000円の出費となるのが痛い。こんなことなら、今より一回り大きいデカリュックの購入を考えても良いのかもしれない。もちろん山々しいやつではなく、普通の旅行で使えるような大型のバックパックが好ましいのだが。

 ロッカーの費用1000円を忌々しく思いつつ、まずは京都駅から学研登美ヶ丘駅までの切符を買う。決して安くはないが、JR路線の運賃に比べれば割安で、モノの値段と言うのがよくわからなくなってくる。そして消化試合的に学研登美ヶ丘まで行った後、すぐ生駒駅まで取って返した。学研登美ヶ丘駅はどう見てもベッドタウンの入口となる郊外駅の顔をしており、旅行者が興味深く徘徊するようなものではなかった。

画像 そして、生駒駅に近接している鳥居前駅からケーブルカーに乗車。なんか、高野山索道とか比叡山ケーブルの硬派なケーブルカーを想像していたので意表を突かれたのだが、犬猫の顔が付いていたり、ケーキを模したフォルムをしていたり、生駒ケーブルはとてもファンシーである。道中に生駒聖天こと宝山寺があるので観光路線だろうとは思っていたが、その観光列車ぶりはまたベクトルが違う。と言うか、道中に宝山寺がある?じゃあ山上になるのはいったい何なのか。やはり生駒テラスみたいになっているのか。百聞は一見に如かずと言うやつで、終点までケーブルカーに乗ってみて、疑問は氷解した。駅を出るやすぐにちびっこ向け遊園地が広がっていた。その代わり、駅周辺に想像してい屋ような展望はない。

画像 のちに調べてみてわかったのだが、この山上遊園地、実は入園料無料である。乗り物に乗ろうとすると有料と言うレギュレーションのようだ。一方園内には、生駒山の一等三角点がある。コースとしてどういったものが考えられるかは定かではないが、その気になればハイキング対象とすることも可能…なのかもしれない。

画像 一応、ほどほどの時間になったので京都まで戻ってみる。最後の時間つぶしプランとして、京都市内では数少ない未訪の有名観光地である貴船神社に行ってみた。さすが最後の大物だけあってインスタ映えしそうなスポットである。どの程度ばえるかと言うと、まるでカナンの豊穣の神である。が、思っていたよりは小さな神社だ。しかも、境内で結婚式をやっていた関係で、普通の観光客が出入りできる範囲はさらに狭められていた。

画像 と言うか、今日はやけに気温が低い。風邪をひいて悪寒がするとかそういうわけではなさそうだが、足元がおぼつかなくなってきた当たり、本当に今日の蓬莱山登山を見送って良かったと思う。軽くめまいすら覚えながら、京都の中心まで戻った。

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