夏も近づく御在所岳

 平成最後の九州旅行からはや2か月。このゴールデンウィークには令和最初の九州旅行に行く予定である。今度の旅行で軸となるのは二つ。九重山登山と五島の福江城攻めだ。後者は、さほど問題となるところではない。城があるのは離島だけれど、城自体は近世の平城なので、天候が大荒れで渡海そのものが不能とならない限りは実質は普通の観光である。ちょっと気になるのが、くじゅうの方で、目指すのはそれほど手ごわい山ではないはずだが、万全を期すために体を慣らそうと、先週は猿投山、今週は御在所岳と、近場の山に登ることにしたのだった。

画像 これまでそんなに注目することはなかったのだけれど、御在所岳は大した山だと思う。名古屋からだと電車でのアクセスが容易なのに加え、名古屋駅から登山口近くまで直通の高速バスが走っている。山麓に湯の山温泉という温泉地があるのにも助けられる形ではあるけれど、とにかくとっつきやすい。いざ登り始めると、急登が続くのでタフな山ということにはなるのかもしれないが、さほど長丁場を強いられるわけではないので、これまた普段山に登らない人がちょっと格上の山に安全に挑んでみようという時に手ごろと言えば手ごろである。また、タフな道とそうでもない道を選択できるコースバリエーションもあり、登頂までで予想外に消耗してしまった場合にはロープウェイ下山という手段も選び得る心強さがある。それでもまあ、過去安易にこの山に登って遭難しかけた挙句、救助にやって来た警官へのお門違いな苦情をSNSで開陳してしまったために大炎上した人もいるにはいたので、細心の注意とともに登る必要はあるのだけれど。

 今回は、御在所の登山道の中では定番中の定番とも言える中道コースを行った。直近の御在所では、真夏の時期に一ノ谷新道を登って、酷暑の余り死にそうになったのだが、その時には豪雨の被害で中道が使えなかったものと記憶している。奇岩が連続し、キレットと呼ばれる険しい岩場もあるので中級者向けコースには位置付けられているようだが、ダイナミックなコースは歩いていて飽きが来ないし、展望にも変化があって名コースとするにいささかの迷いもない。四日市の街並みやその向こうの伊勢湾が見えるのは当然知っていたけれど、まだ空気が澄んでいる春先のこの時期であれば、御嶽や南アルプス(だと思う)の山まで遠望できるとは、思いもしなかった。前日は職場の飲み会で、起き抜けはあまり気分がさえなかったが、快晴の天気予報に一念発起してやって来た甲斐はあった。

画像 御在所岳の山頂付近は、観光地化されている。一説に御在所岳は、背が低いながらも百名山の候補に挙がっていたのだそうだが、山頂が俗化されているので選外にされた経緯があるとも聞いている。その深田久弥氏の感性はもちろんわかるのだけれど、その景観も、意外とハードな山行の終わりに絶妙の弛緩を与えてくれていると言えなくもない気がする。

 そんな御在所の山頂で、今年の山の方針を整理する。間近に迫った九重は別として、今年のメインイベントとするビッグマウンテンとしては、ついに奥穂高を選びたい。その前哨戦に笠ヶ岳、締めくくりの秋に昨年は断念した八ヶ岳(赤岳)を選ぶことにする。奥穂はもちろん、笠ヶ岳も体力勝負の山となるそうなので、再度山登りを習慣づけたいと思う。その習慣づくりの山としては。伊吹山、池田山、位山、福地山、京都一周トレイル京北コース、六甲山、東海自然歩道(蔵田~久能尾、久能尾~油山温泉)といったところをチョイスしたい。漠然と選んだが、これでも8コースある。天候の都合なども考慮すれば、これらを消化していくうちに夏山シーズンに突入するはずだし、それでも持ち時間ができるなら、また三河の山にでも足を延ばせばよいのだと思う。

画像 半ば思い付きのような御在所岳登山ではあったけれど、何となく得るものはあったような気がする。満ち足りた気分になり、帰りはロープウェイで下山した。登山は自分の足で下ってこそという信念を持つ人たちも少なくないようだが、往路で登ってきたコースを俯瞰し、キレットに至っては横からその全体像を遠望できるのが、この御在所ロープウェイの面白いところだと思う。ロープウェイを降りると、ほとんど目の前のような位置にバス停がある。数年前までのバス停とは明らかに場所が変わっている。前の物は、湯の山温泉の温泉街の入口辺りに位置していたが、このバス停うからだと、御在所登山は便利だが温泉へのアプローチが迂遠になってくる。その辺は大丈夫なのだろうかと、鬼怒川温泉張りの廃墟ホテルの建物を通目に見ながら、少しだけ気になった。

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